任意後見契約が登記されている場合に、法定後見の申立がなされても、原則、任意後見が優先されることになります。
任意後見の趣旨は、自己決定権の尊重です。
本人が決定した、任意後見受任者や代理権の内容を尊重する必要があるからです。
ただし、任意後見契約法では、例外として「本人の利益のため特に必要があると認めるとき」に限って法定後見の審判ができる旨を定めています。
どういうことかといいますと。
任意後見制度によって本人を保護するよりも、法定後見制度で保護したほうが本人の利益になる場合には、法定後見のレールに乗ってもらうということです。
自己決定権の尊重には反しますが、結果、本人の利益になるのことなので「本人保護」にかなうことになります。
<法定後見がなされた場合、既になされた任意後見契約の行方>
・任意後見監督人選任後
任意後見人と成年後見人とは、共存ができませんので、任意後見契約は当然に終了します(任意後見契約法10条3項)。
・任意後見監督人選任前
任意後見契約は委任契約として存続し続けます。
(任意後見契約法10条3項の反対解釈)。
第10条(後見、保佐及び補助との関係)
任意後見契約が登記されている場合には、家庭裁判所は、本人の利益のため特に必要があると認めるときに限り、後見開始の審判等をすることができる。
2 前項の場合における後見開始の審判等の請求は、任意後見受任者、任意後見人又は任意後見監督人もすることができる。
3 第4条第1項の規定により任意後見監督人が選任された後において本人が後見開始の審判等を受けたときは、任意後見契約は終了する。
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