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任意後見契約の濫用、法定後見の妨害事例

February 19, 2016

 

任意後見契約のメリットとして挙げられるのが、ある特定の後見人を予め定めることが出来ること。

法定後見の申立の場合には、いくら後見人候補者として親族を立てたところで家庭裁判所が認めないかぎりは専門職後見人等の第三者が後見人となる場合があります。

例えば、親族間に紛争を抱えているようなケースでは、候補者どおりに選任されにくいのです。

このような場合に、自分の利益になるような親族と任意後見契約を結ぶことによって親族間紛争を有利に進めようとする動きも一部にあることも確か。

親族間紛争を有利にするためのツールとして任意後見契約を利用することは本来の趣旨とは異なる利用の仕方です。

以上のような任意後見契約の濫用が認められる場合には、本人保護に欠けると裁判所が判断することもあるでしょう。

 

本人の保護に欠けるということは、本人の利益のために特に必要がある場合に該当し、例外的に法定後見が優先することもあるのです。

 

任意後見は法定後見に優先するのが原則。

ですが、本人の利益のために特に必要である場合には以下の処理がなされます。

 

既に、任意後見契約が先行している場合でも、法定後見が開始する。

既に、法定後見がなされている場合には、任意後見監督人の選任申立がなされても却下される。

 

以上、難しく専門的になってしまいましたが、

任意後見契約を締結すれば相続問題は解決する

とか、

親族間紛争を有利に進めるには任意後見契約を締結したほうがいい。

といった甘言をするコンサルタント会社もあるようなので注意したいですね。