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成年被後見人は遺言ができるのでしょうか?

July 23, 2013

誤解されている方が多いのですが、成年被後見人とは、後見開始の審判を受けた者のことを指します。

民法第8条
後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。

 

上記のとおり、成年被後見人とされる者は、後見開始の審判を受けた者です。

事理弁識能力を欠く常況にあっても、後見開始の審判が未だであるならば、その者は成年被後見人ではありません。

実際のところ、そのような状態にある方でも遺言ができるのでしょうか?

「遺言」も法律行為である以上、それをするには意思能力が必要です。

民法第963条
遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。

遺言をする時に、遺言能力があればいいんです。
成年被後見人であっても、遺言をする時に遺言能力があればいい。

民法973条は厳格な要件のもとに成年被後見人の遺言を認めています。

「医師二人以上の立会い」の要件はともかく、
「事理を弁識する能力を一時回復した時」という要件が実際のところ満足するかどうか。

そもそも、事理弁識能力を欠く常況に既になってしまっている方です。
「常況」ということは、文字通り解釈すると、「常にその状況」となります。
一時回復することが難しい、しかも求められる回復の程度が遺言をするほど能力だろうことを考えると現実にはあまりないケースかもしれません。

また、本心に復してさえいれば成年被後見人でも単独で離婚することができます。
※民法第764条で738条を準用しています。
ただし、事理弁識を欠く常況であれば裁判離婚(民法第770条1項4号)する以外に方法がありません。

(参考)
第7条(後見開始の審判)
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。

第973条(成年被後見人の遺言)
成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。
2 遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない。ただし、秘密証書による遺言にあっては、その封紙にその旨の記載をし、署名し、印を押さなければならない。

第738条(成年被後見人の婚姻)
成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない。

 

第770条(裁判上の離婚)
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

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