苗字と名前は、法律的には、「氏」と「名」と言ったりします。
自筆証書遺言を書き残すには、遺言者の氏名を自書することが法律で決まっています。
法律の定めた記載の方法を守らないと遺言書は無効になってしまうのが原則ですが、「苗字のみ」又は「名前のみ」の遺言書は無効でしょうか?
(大判大4・7・3)
本条にいう氏名の自書とは遺言者が何人であるかにつき疑いのない程度の表示があれば足り、必ずしも氏名を併記する必要はない。
氏名の自書を要求する趣旨は、遺言者本人の同一性を明らかにするのと同時に、遺言者の真意に基づく遺言書であることを証明することにあります。
「氏」または「名」のみでも遺言者本人を特定できるであれば遺言書は有効であるというのが最高裁の結論です。
しかしこの判例は、自筆証書遺言書をいざ開封したら「氏」「名」の要件を満足しなかった場合に有効無効を争った事案です。
民法の原則は、あくまで「氏名」の記載を要求しています。
これから遺言書を書き残される方は、氏名を書かなければいけません。
参考
第968条(自筆証書遺言)
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
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