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【保存版】住宅ローンを完済すれば担保としての抵当権も実体上消えている。登記簿上残っていたとしても|行政書士阿部総合事務所

September 27, 2014
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約 6 分

一般の方が知らないのは当然ですが、融資業務を扱っている金融機関の担当者も知らないことが多い。

昨日も馴染みにしている金融機関の担当者から質問がありました。

 

住宅ローンを組むときには、不動産を担保に提供するのが通常です。

マンションを購入した時に所有権は自分のもの、と同時に、借入金を担保するために購入したマンションに抵当権を設定します。

 

その場合、そもそもの借入金を完済した場合に抵当権の運命はどうなるのでしょうか?

一部の返済ではなく、残債務全額を返した場合です。

 

抵当権は自動的に消滅します。

 

マンションの不動産登記簿に登記されている抵当権が抹消の登記がされずに残っていたとしても消滅しています。

なぜでしょうか。

抵当権などの担保物権の法律上の性質によるところなのです。

 

4つある担保物権の性質のうち、「附従性」という考え方により、抵当権は自動的に消滅するのです。

 

「附従性」・・・債権のないところに担保物権は成立しない。

 

抵当権などの担保物権は、債権を担保するために存在します。

債権がなければ抵当権を残している意義がありません。

したがって、債権がなくなれば自動的に抵当権は消滅してしまうのです。

これを附従性といいます。

 

 

ということは、住宅ローンを完済したときに銀行から郵送されてくる登記関係書類には手を付けなくて大丈夫ですね。

だって、登記をしなくても実体上消えていますし。

 

 

とは、なりません、残念ながら。

 

絶対ダメというわけではないのですが、完済したら速やかに登記をしたほうがいい。

その理由は。

抵当権の登記が残ったままだと、マンションを売れない。

抵当権の登記が残っているマンションは売れません。

売れません、といっても売ることはできます。

ですが、買う人がいない。

 

貸したカネを返せなかったら、マンションを売って(競売に付すということ)カネに変えて債権者が先にもらうというのが抵当権の効力です。

返済できないときの所有者が誰か?なんて関係なく、銀行はそのマンションをカネに換えて優先的に返済に充てることができます。

完済したから抵当権は自動的に消滅しているから大丈夫。

でも、ホントに大丈夫かはマンションを買う人にはわからない事情なんですね。

 

実体上消滅している抵当権だから登記上残っていても大丈夫という所有者A。これを信頼して買主Bはマンションの売買代金2000万円をAに支払いました。

Bに所有権を移したあとに調べてみると、住宅ローンは完済されずに残っていました。

Bは、Aに連絡しようとするでしょう。

Bは、Aに払った売買代金を返せって言います。

この段階になると、連絡は通じないでしょうし、もちろん売買代金は返ってこないでしょう。

Bは、マンションの売買が無効であるとして、売買代金を返せとは法律上言えます(もろもろ、その他の事情が絡みますが)。

返せと言えるからといって、Bの払った2000万円が戻ってくるかというと、通常戻ってきません。

法律上の主張ができる事と、現実にそれが履行されることとは全く別。

裁判上の手続きを録ったとしても、「ないものはない」んです。

2000万円使っちゃってたら、2000万円は戻ってこないんです。

 

こういったコワイことが起きる可能性があるので、不動産仲介業者が間に入った不動産取引では、抵当権が残っている不動産の売買はなされません(一部の例外はあります。)。

しかし、ご近所同士だから、親戚だから、といった理由で個人間で売買をするときに起きない事情とはいえないのです。

 

したがって、住宅ローンを完済した後に銀行から郵送されてくる抵当権抹消の登記書類は、すぐに開封して近くの法務局に相談に行くか、司法書士に連絡して手続きを依頼してください。

 

司法書士に依頼した場合の手続き費用は通常は2,3万円程度(不動産の個数などによって異なりますが)と安いものです。

司法書士にお金を払って依頼するんだったら自分で登記をしてしまおうという方も多いですね。

ただ、その場合は、平日の昼間に登記所に相談に行ける方というのが前提。

しかも、大抵は1回の相談では済まないので、2回、3回と登記所に足を運ぶことになるかもしれません。

 

時間と費用とどちらをとるかになりますが、自分だったら3万円払って司法書士にお任せしてしまいます。

相談に行っている時間が無駄ですし、司法書士に依頼すればフルサポートなので安心です。

 

登記申請の代理権を持っているのは、行政書士でも税理士でもなく、司法書士です。

(業務)
司法書士法第3条 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 登記又は供託に関する手続について代理すること。
二 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第4号において同じ。)を作成すること。ただし、同号に掲げる事務を除く。

 

インターネット経由で調べて電話するのが不安な方は、登記所に行けば近くに開業している司法書士事務所があります。(地方によってはない場合にありますが、大抵はあります。)ので書類を持って相談に行くと一回で済むと思います。

 

相談に行くときは、必ず銀行から郵送されてきた抵当権抹消書類の封筒をまるごと持って行ってください。

相談を受ける方とすると、書類などの資料がない、書類があっても一部が不足している、等のばあいは、確定した話しができず相談の機会が無駄になってしまうかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

抵当権の抹消登記について、いつまでにしなければならないという規定がない(一部の登記には、原因が発生してから2週間以内等、期間の定めがある場合がある)ので、放ったらかしにしておく方が実はとても多いのが現実。

 

 

 

 

 

 

 

 

About The Author

行政書士行政書士阿部隆昭
創業支援と資金調達に強い東京都北区赤羽の行政書士阿部隆昭。
事業計画書作成支援、創業融資申請サポート、補助金助成金申請、契約書作成、ビザ申請など、中小企業支援業務をメインに業務を行なっています。
業務経験20年の知見をフル活用し、クライアント様の事業運営をサポートします。