行政書士阿部総合事務所

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創業塾で語りたい事例 ─ “税引前利益1%”が学びを深める理由|行政書士阿部総合事務所

September 19, 2025
約 5 分
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街のドラッグストアを訪れたとき、目に留まったポスターがありました。
そこには「ウエルシアグループは税引前利益の1%を社会に還元しています」と書かれていました。

「利益の一部を社会に還元します」と書かれた広告や企業メッセージは珍しくありません。しかし「税引前利益」という言葉が明示されていることに、強い印象を受けました。

なぜなら、この選び方そのものが、企業の姿勢を映し出しているからです。


「税引前」を基準にする理由

利益にはいくつかの段階があります。
売上総利益、営業利益、経常利益、税引前利益、税引後利益(純利益)──。

一般的なニュースで目にするのは「純利益」が多いかもしれません。投資家向けの情報や、配当金の原資として重要だからです。

しかしウエルシアが選んだのは「税引前利益」でした。

ここには大きく3つの狙いがあると考えられます。

  1. 税制の違いに左右されない
     税引後利益は国や地域ごとの税率によって変わってしまいます。グローバルに事業を展開する企業にとって、税制の違いを超えて共通の物差しを持つことは大きな意味があります。
  2. 「余り」ではなく「先に確保する」姿勢
     純利益から出すのでは「余ったらやる」印象になります。税引前に設定することで、利益が出た段階で社会貢献を約束する構造になります。これは経営理念を数字で示す行為といえます。
  3. 説明責任を果たしやすい
     「まず1%は社会に返す」と明確に宣言すれば、残りは税金、株主への配当、再投資に充てると整理できます。経営判断のシンプルさは、株主や社員への説明責任を果たす上で大きな武器になります。

数字を置き換えると見えてくること

この姿勢が単なるスローガンではないことは、実際の数字を見ると一層わかります。

ウエルシアの最新決算(2025年2月期)によると、経常利益は 約408億円
その1%は 約4億円強 にあたります。

4億円といえば、地方の小学校の校舎をひとつ建て替えられるほどの金額です。あるいは地域のNPO活動を数年単位で支援できる規模ともいえるでしょう。

これが「税引前利益の1%」として組み込まれている。つまり社会貢献は「余裕があればやること」ではなく「経営の仕組みの一部」として位置づけられているのです。

数字をこうして具体的に置き換えると、経営理念がどれだけ実際の行動に落とし込まれているかが一目瞭然になります。


数字を「読む」ことの意味

創業したばかりの頃、会計の数字はとにかく「難しい」「専門家に任せればいい」と思われがちです。
しかし実際には、数字は経営を語るための言語であり、社会に対して信頼を示すための道具でもあります。

売上や利益の金額だけを追いかけても、それは単なる記録にすぎません。
大切なのは、その数字が何を映し出しているのかを読み取る力です。

ウエルシアの事例でいえば、「税引前」という選び方自体が、社会に向けた姿勢を語っています。創業者が数字を通じて社会とどう向き合うか──そこに会計リテラシーの本質があるのです。


学びの場で数字が立ち上がるとき

一方で、こうした事例は学びの場でも力を発揮します。
創業塾や勉強会で「税引前利益の1%」のような具体例を紹介すれば、数字は一気に血の通ったものとして受講者の前に立ち上がります。

「決算書に並ぶ難しい用語」ではなく、「経営の物語」として理解できるようになる瞬間です。
数字が単なる計算結果から、経営のストーリーを語る道具へと変わる。この変化を体感することは、創業者にとっても、学びの場を運営する立場にとっても、非常に価値のある経験となります。


数字をめぐる空気感

興味深いのは、「意味」を直接言葉で語らなくても、空気として伝わることがある点です。

「創業者にとって大切なのは──」と講師が言ってしまえば説教臭さが残ります。
けれど、「創業の現場ではこうした数字が自然と問われることになります」と語れば、聞き手の中に自分ごととして考える余白が生まれます。

数字をどう読むかは、学びの場に漂う空気そのものを変える力を持っています。


まとめ:数字は経営の姿勢を映す

ウエルシアの「税引前利益1%還元」は、会計リテラシーの価値を象徴する事例です。
数字は単なる記録ではなく、経営の姿勢を社会に示す言語。

創業の現場で数字をどう読み解くか。
学びの場で数字をどう立ち上がらせるか。

その両方に通じる視点が、この「税引前利益1%」というシンプルなメッセージに込められています。

創業者にとっては、自らの経営を社会にどう映すかを考えるきっかけに。
学びの場を運営する人にとっては、数字を物語として語る重要性を再確認するきっかけに。

数字を読む力は、事業を継続するためだけでなく、経営を育てるために不可欠な力です。
そしてその力は、日常の一枚のポスターからでも養われていくのです。

行政書士阿部隆昭

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創業支援と資金調達に強い東京都北区赤羽の行政書士阿部隆昭。
事業計画書作成支援、創業融資申請サポート、補助金助成金申請、契約書作成、ビザ申請など、中小企業支援業務をメインに業務を行なっています。
業務経験20年の知見をフル活用し、クライアント様の事業運営をサポートします。

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