行政書士の私は、補助金申請・外国人雇用・創業支援を専門としています。
創業塾の講師として7年、全国の商工会議所・商工会から招聘を受けながら、280社超の創業伴走をしてきました。
その中で、「良さそうに聞こえた提案が、自社には合わなかった」という経営者の失敗を、支援者側から何度も見てきました。
失敗の多くは、商談の場で確認すべきことを確認しなかったことから始まっていました。
この記事では、行政書士の私が商談に同席するときに実際に確認している7つのことと、なぜそれが商談後の資料分析では代替できないのかをお伝えします。

1. 私は提案を「説明」として聞いていない
私が商談に同席するとき、相手の説明を受け身で「聞く」だけではありません。
提案を聞きながら、同時に7つのことを確認しています。
これは補助金申請の事業計画を読むときも、外国人雇用の在留資格を確認するときも、創業融資の計画書を見るときも、同じプロセスを走らせています。
「前提を整えてから、判断する。」
行政書士の業務で一貫して行っていることを、商談の場でも同じように発動させているだけです。
2. 同時インタラクティブとは何か
このサービスの本質を一言で表すなら、同時インタラクティブです。
提案を聞きながら、同時に前提を組み直し、曖昧な言葉を拾い、経営判断に必要な問いをその場で当てる。
これは「後から分析する」こととは全く異なります。
| 後からできること | 商談の場でしかできないこと |
|---|---|
| 録音後の要約 | 提案を聞きながら前提を組み直す |
| 資料の分析 | 曖昧な言葉をその場で拾う |
| 提案書の読み込み | 今ここで何を聞くべきかを判断する |
| 論点の整理 | 相手の反応を見て問いを変える |
AIに任せればいいのでは、という疑問があるかもしれません。
AIは、終わったものを読むことが非常に得意です。録音後の要約、資料の分析、論点の整理。これらはAIが強い領域です。
しかし商談は、リアルタイムで進みます。
以前、経営者仲間からこんな話を聞きました。オンライン商談でAIに音声を聞かせながらリアルタイム解析を試みたそうです。ところが誤作動でAIが音声を発してしまい、商談相手から「あの……誰かいらっしゃいますか?」と言われたと。その後の商談の空気は、想像にお任せします。
笑い話として聞きましたが、これは本質的な問題を示しています。
AIに任せられるのは、商談が「終わった後」の処理です。商談が「進んでいる最中」に、どの言葉を確認すべきか、今ここで何を聞くべきかを判断し、その場で問いを当てることは、現時点ではその場にいる人間にしかできません。
録音データを後から分析させることと、商談中に経営判断に必要な要素をリアルタイムで抽出することは、全く別の作業です。
3. ① 全体像を把握する
提案の細部に入る前に、まず「何の話なのか」を確認します。
- 今日の提案は、何を提供する話なのか
- 誰が、何をする提案なのか
- こちらに何を求めているのか
多くの場合、営業担当者は「自社サービスの魅力」を伝えることに集中しています。そのため、話が進むにつれて「結局、何の提案だったのか」が分からなくなることがあります。
冒頭で全体像をつかんでおくと、その後の説明を正確に受け取れます。
**相手が全体像を整理できていない場合、その時点で提案の準備不足が見えてきます。**それ自体が判断材料です。
4. ② 当事者関係を再構成する
営業提案には、複数の会社・担当者・役割が登場することがあります。
「A社が運営するプラットフォームに、B社経由で掲載できます。C社が審査を行い、D社がマーケティング支援をします」
この場合、実際に契約する相手はどこか、費用はどこに発生するか、問題が起きたときの窓口はどこかを整理しないと、契約後に「思っていた相手と違う」ということが起きます。
私が最初に確認するのは、「誰と誰の関係なのか」という当事者関係の地図です。
「今日ご説明いただいている御社の立場は、運営主体ですか?それとも販売代理店ですか?」
この一問で、関係図が一気に明確になることがよくあります。
5. ③ 曖昧な提案を事実に引き戻す
「大手企業と提携」「指定の専門家として掲載」「実績多数」「選ばれています」
これらは魅力的に聞こえますが、そのままでは事実として何を意味するのかが分かりません。
私はこうした言葉を一段正確な表現に引き戻します。
「大手企業と提携」 →「その企業から業務を受注しているということですか?それとも、同じプラットフォームを利用しているということですか?」
「実績多数」 →「何件ですか?私どもと同業種・同規模の事例ですか?」
言葉の意味を正確にそろえることで、お互いに正しい前提で話を進められるようにしているだけです。この確認を怠ると、「思っていた内容と違った」という契約後のトラブルにつながります。
6. ④ 顧客行動を確認する
提案の多くは、「露出が増える」「認知が広がる」「問い合わせにつながる」という形で価値を説明します。
しかし私が確認するのはそこではありません。
「誰が、どこで、何を見て、どう動くのか」
露出があることと、行動が発生することは別の話です。どんなに「見える場所」に掲載されても、ターゲットがそこで探す行動をしなければ、問い合わせにはつながりません。
この問いに明確な根拠を示せない提案は、前提が崩れています。
7. ⑤ 相手の収益源を見抜く
提案には必ず、提案者側の収益構造があります。相手が前面に出しているメリットと、実際の収益源が一致しているとは限りません。
よくあるパターンは、「入口の提案」と「本体の契約」が別になっているケースです。
「福利厚生プログラムへの掲載」を入口として説明しながら、実際の収益源は「2年間のWebマーケティング支援契約」にある、というケースがあります。
私はこうした構造を確認します。
「今日のご提案は、掲載が主体ですか?それとも、マーケティング支援がメインのご提案ですか?」
収益源を特定することで、相手が本当に何を売ろうとしているのかが明確になります。
8. ⑥ 自分の専門領域で説明精度を測る
行政書士の私には、補助金・外国人雇用・創業支援・財務・法律の実務知識があります。
これを使って、相手の説明がどこまで具体的かを測ります。
「補助金申請の実績が年間30件あります」という説明があったとします。
「その30件は、どの補助金ですか?ものづくり補助金ですか?持続化補助金ですか?業種はどういった企業ですか?採択率はどの程度ですか?」
補助金には種類があります。難易度も作業工程も採択率も、種類によって全く異なります。「30件」という数字は、補助金の種類・業種・採択率がセットでなければ判断材料になりません。
自分の専門領域の知識で問いを入れると、相手の説明がどこまで裏付けられているかが見えてきます。
9. ⑦ その場で問いを当て、解像度を上げる
7番目が、このサービスの核心です。
1〜6の視点は、商談が終わった後に資料を読みながら確認するものではありません。
提案者が目の前にいる、商談のその場でリアルタイムに発動させます。
なぜなら、資料には出てこない情報が、商談の場には存在するからです。
相手の説明のトーン、詰まる箇所、強調する部分、答えられない質問。
これらは、商談のその場にしかありません。
その場で問いを当てることで、提案の輪郭がはっきりします。そのうえで初めて、「この提案は自社に必要か」「今進めるべきか」「追加で何を確認すべきか」を判断できます。
その場で問いを当てる。だから、判断できる状態になる。
これが、商談同席セカンドオピニオンの本質です。
10. 商談後では遅い確認が、確かに存在する
ここまで7項目を説明しましたが、重要なことが一つあります。
これらは商談のその場でリアルタイムに確認するものです。
後から資料を読んで7項目を当てはめるのでは、意味が半減します。
商談には一回性があります。その場で聞かなかった質問は、後から聞くと重くなる。確認しなかった言葉は、資料上の表現に固定される。見えた反応は、後から再現できない。
商談後では遅い確認が、確かに存在します。
だからこそ、提案者が目の前にいるその場に、問いを入れる第三者がいることに価値があります。
11. 判断できる経営者は、提案を「読める」経営者である
7項目を確認した結果、「この提案は自社に合わない」と判断できることがあります。「この提案は進めるべきだ」と確信を持てることもあります。
どの結果であっても共通しているのは、**「自分で判断できた」**という状態です。
営業提案を感覚で断るのでも、雰囲気で乗るのでもなく、判断材料を整えた上で決める。
それができる経営者は、提案を「断る力」があるのではなく、提案を「読む力」があります。
商談同席セカンドオピニオンは、その力を商談の場で発揮するサービスです。
[商談同席セカンドオピニオン]
商談同席セカンドオピニオンは、営業会社・提携候補・外部業者から提案を受ける商談の場に、行政書士阿部隆昭が同席し、その場で問いを入れるサービスです。
後から資料を読むのではなく、提案者が目の前にいる場で確認することで、判断に必要な材料を整えます。
初回相談30分は無料です。補助金・業務提携・Web制作・システム導入など、外部提案を受けて判断に迷っている段階でご相談ください。




