2026年に始まった「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(新もの補助金)」の新事業進出枠には、補助金額750万円という下限があります。
通常の補助率1/2で下限に達するには、税抜きの補助対象経費が少なくとも1,500万円必要です。設備の選定や見積もりを進める前に、計画する事業がこの規模に届くかを確認しておく必要があります。
まずは1分の動画で、下限額の意味と計算方法をご確認ください。
結論:通常1/2なら対象経費1,500万円以上が必要
第1回公募要領では、新事業進出枠の補助金額は750万円から7,000万円、補助率は中小企業者1/2とされています。通常の補助率で下限額750万円に達する計算は、次のとおりです。
ここで基準になるのは、設備の購入予定額や事業全体の投資額ではなく、公募要領上、補助対象として認められる税抜き経費の合計です。
下限額は申請前の「投資規模の入口判定」になる
当事務所が旧ものづくり補助金の申請支援に携わった際にも、補助金額の下限100万円に届かず、申請を断念する小規模事業者が見られました。これは公的な統計ではなく、実務上の経験に基づくものですが、下限額を先に確認する意義をよく示しています。
新事業進出枠の下限は750万円です。旧ものづくり補助金で意識されていた100万円より補助金額ベースで大きく、対象となる投資規模も相応に大きくなります。補助上限額に目を向ける前に、まず下限を満たせる計画かを確認することが重要です。
対象経費1,200万円では下限に届かない
例えば、補助対象経費として認められる金額が税抜き1,200万円の場合、通常の補助率1/2を乗じると補助金額は600万円です。
下限750万円に届かないため、この内容のままでは申請できません。
対象外経費を含めて1,500万円を超えていても、対象経費として認められる部分が1,500万円未満であれば同じ問題が生じます。見積書の総額だけで判断しないことが大切です。
補助率2/3になるのは特例に該当する場合だけ
地域別最低賃金引上げ特例の適用要件を満たす事業者は、補助率が2/3になります。この場合、下限750万円に達する単純計算上の補助対象経費は1,125万円です。
ただし、2/3はすべての申請者に適用される補助率ではありません。地域別最低賃金引上げ特例の対象となるかを確認せず、最初から2/3で資金計画を作ることは避ける必要があります。
対象経費の合計は設備価格だけでは決まらない
新事業進出枠では、機械装置・システム構築費または建物費のいずれかの計上が必須です。一方で、事業に必要な支出であっても、すべてが補助対象になるわけではありません。
- 申請する枠の必須経費を満たしているか
- 各支出が公募要領上の対象経費に該当するか
- 消費税や対象外経費を除いた税抜き金額はいくらか
- 補助率を乗じた補助金額が750万円以上になるか
新事業のために導入する設備や建物改修が必要でも、その支出を対象経費として計上できるかは別途確認が必要です。
1,500万円を用意できればよい、という話ではない
補助金は、採択や交付決定の時点で先に入金されるものではありません。事業者が補助事業実施期間内に支払いを行い、実績報告、確定検査、交付額の確定、請求を経て支払われます。
- 補助対象経費をいったん全額支払うための資金
- 補助対象外となる経費
- 補助されない消費税
- 補助金が入金されるまでの運転資金
下限を満たすことだけでなく、後払いを前提とした資金繰りまで申請前に検証する必要があります。
見積もりを進める前の5つの確認
- 新事業進出枠が事業の目的に合っているか
- 必須経費と補助対象経費を区分できているか
- 適用される補助率が1/2か、特例の2/3か
- 補助金額が下限750万円に達するか
- 補助金の入金まで必要な資金を確保できるか
この5点を確認してから設備や建物の見積もりを具体化すると、計画の途中で下限未達が判明するリスクを抑えられます。
新もの補助金の活用を検討している方へ
行政書士阿部総合事務所では、新もの補助金をはじめとする大型補助金について、申請枠の選択、補助対象経費、投資規模、売上・賃上げ計画、資金繰りなど、申請前の論点整理を支援しています。
新もの補助金の3枠、対象経費、賃上げ要件は、こちらの全体解説動画でご確認いただけます。
本記事は、2026年7月15日時点の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募要領1.0版(2026年6月29日)に基づく一般的な解説です。個別案件の補助対象性や採択を保証するものではありません。申請時は、公式サイトおよび最新の公募要領をご確認ください。


