2026年に始まった「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(新もの補助金)」の第1回公募要領には、減点項目として「過剰投資の抑制」が明記されています。
特定の期間に類似のテーマ・設備等に関する申請が集中し、別途審査で過剰投資と判断された申請は、大幅な減点を受けます。ただし、人気の設備を選んだだけで、自動的に大幅減点されるという意味ではありません。
まずは1分の動画で、審査の流れをご確認ください。
結論:人気設備を選んだだけで自動減点ではない
公募要領に記載された判定の流れは、次の二段階です。
- 特定の期間に、類似のテーマ・設備等に関する申請が集中している場合、別途審査を行う
- 別途審査で過剰投資と判断された申請について、大幅な減点を実施する
したがって、「話題の設備を導入する計画だから即減点」「同じ設備を使う事業者は申請できない」という制度ではありません。一方で、補助金を契機に同様の設備投資や事業計画が集中する場合は、通常の市場分析だけでは不十分になる可能性があります。
公募要領46ページの「過剰投資の抑制」
第1回公募要領46ページでは、申請者が事業計画を作成した時点の市場分析には、応募申請後から採択発表までの社会情勢・市場の変化や、本補助金の支援を受けて新たに行われる他社事業の影響が含まれていないと説明されています。
計画作成時には自社の優位性が認められても、実際に事業を始める段階では、競合の増加などによって優位性が消滅している可能性があります。そのため、類似する申請が集中した場合に別途審査を行うという考え方です。
大幅減点の対象は、人気設備を選んだ申請すべてではなく、別途審査で「過剰投資」と判断された申請です。
申請者には他社の申請状況が分からない
申請者が、同じ公募回でどの設備やテーマに申請が集中しているかを正確に把握することは困難です。そのため、申請集中を完全に予測して避けるという対策には限界があります。
実務上は、類似事業者が増えた場合でも成り立つ計画か、設備の能力や投資額が需要に対して過大ではないかを、申請者自身の市場データで説明できるようにすることが重要です。
過剰投資と判断されにくい計画にする5つの確認
- 顧客需要:誰が、何を理由に、どの程度購入するのか
- 競合との差:同じ設備を持つ他社と、提供価値や顧客層がどう違うのか
- 設備能力:設備の処理能力や規模が、見込需要に対して過大ではないか
- 売上根拠:単価、販売件数、稼働率、販売経路を具体的に説明できるか
- 変化への耐性:競合が増えた場合や売上が計画を下回った場合でも事業を継続できるか
これらは公募要領に列挙された減点回避のチェックリストではなく、「市場分析どおりに事業を実施できるか」という審査趣旨から整理した実務上の確認項目です。
設備の人気ではなく、自社が売れる根拠を示す
「市場が成長している」「業界で注目されている設備である」「補助金を使えば安く導入できる」という説明だけでは、自社が投資を回収できる根拠として十分とはいえません。
既存顧客からの相談、具体的な見込み顧客、競合調査、自社の技術・顧客基盤、設備の必要能力、販売価格と件数などをつなぎ、なぜ自社の計画が成立するのかを説明する必要があります。
設備能力が過大になっていないか
高性能な設備ほど評価されるわけではありません。見込む生産量やサービス提供件数に対して設備能力が大きすぎれば、稼働率、投資回収、資金繰りの説明が難しくなります。
- 計画する販売数量に必要な処理能力
- 設備の想定稼働率
- 既存設備では対応できない理由
- 小規模な設備や外注では実現できない理由
- 売上が計画を下回った場合の返済・資金繰り
設備を導入したいという結論から事業計画を組むのではなく、顧客需要から必要な能力と投資額を逆算することが大切です。
新もの補助金の活用を検討している方へ
行政書士阿部総合事務所では、新もの補助金をはじめとする大型補助金について、申請枠の選択、補助対象経費、市場分析、設備能力、売上・賃上げ計画、資金繰りなど、申請前の論点整理を支援しています。
新もの補助金の3枠、対象経費、賃上げ要件は、こちらの全体解説動画でご確認いただけます。
本記事は、2026年7月16日時点の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募要領1.0版(2026年6月29日)に基づく一般的な解説です。個別案件の審査結果、採択、減点回避を保証するものではありません。申請時は、公式サイトおよび最新の公募要領をご確認ください。


