
行政書士阿部総合事務所 行政書士 阿部隆昭
中小企業省力化投資補助金(一般型)第6回の申請支援を行った際、書類の準備・PDF化の場面で実際に起きたミスや詰まりポイントをご紹介します。
「書類の内容は正しいはずなのに、PDF化したら見た目がおかしい」「不要なページが混入していた」——書類準備の段階にも、見落としやすい落とし穴があります。
その1:ExcelをPDF化するとレイアウトが崩れる
よくある状況
指定様式のExcelファイルをPDFに変換したところ、一部の記載内容が表の外に追い出されて読めなくなっていたというケースがあります。
今回の申請では、「他の助成制度の利用実績確認書」をPDF化した際に、各補助金の「導入製品等(補助対象経費)」欄の記載内容が表の外に押し出されてしまい、審査担当者が各補助金と導入製品の対応関係を読み取れない状態になっていました。
なぜ起きるのか
ExcelのセルはPC画面上では正しく表示されていても、印刷範囲やページ設定が適切でないと、PDF化した際にレイアウトが崩れることがあります。特に行の高さが自動調整されない場合、内容が切れたり表外に溢れたりします。
対処法
ExcelをPDF化する前に必ず以下を確認してください。
- 印刷プレビューで全ての内容が印刷範囲内に収まっているか確認する
- 「ページに合わせて縮小」または「拡大縮小なし」の設定を確認する
- PDF化後に実際にPDFを開いて、全ての記載内容が正しく表示されているか目視確認する
PDF化後の目視確認は必須です。画面上のExcelが正しくても、PDFが正しいとは限りません。
その2:決算書に不要なページが混入する
よくある状況
決算書をPDF化して提出する際、提出不要な書類が混入してしまうケースがあります。
今回の申請では、損益計算書のPDFに株主資本等変動計算書が含まれた状態で提出しようとしていました。
提出が必要な書類・不要な書類
応募マニュアルに定められた提出書類は以下の通りです。
提出が必要なもの:
- 損益計算書
- 製造原価報告書(作成している場合)
- 販売費及び一般管理費明細書(作成している場合)
- 個別注記表
- 貸借対照表
提出不要なもの:
- 株主資本等変動計算書
- キャッシュフロー計算書
会計ソフトから決算書を一括でPDF出力すると、株主資本等変動計算書が自動的に含まれることがあります。提出前に必ずページ構成を確認し、不要なページを削除してから提出してください。
注意点
株主資本等変動計算書が含まれていても、それだけで不採択になるわけではありません。ただし審査担当者に余分な書類を確認させることになり、印象として好ましくありません。提出書類は必要なものだけに絞るのが基本です。
その3:「地域別」と「事業場内」——名称が似た確認書類の混同
よくある状況
省力化補助金には最低賃金に関連する書類が2種類あります。
| 書類名 | 区分 | 提出タイミング |
|---|---|---|
| 【指定様式】地域別最低賃金引き上げに係る要件確認書 | 提出書類⑧(必須) | 応募申請時 |
| 【指定様式】事業場内最低賃金引き上げに係る要件確認書 | 提出書類⑬(加点・任意) | 応募申請時 |
名称が非常に似ているため、担当者が「地域別」の確認書に「事業場内」の情報を記入してしまったり、逆に「事業場内」の加点を取得しようとしているのに「地域別」の書類だけを準備して終わりにしてしまうケースがあります。
2つの書類の違い
地域別最低賃金引き上げに係る要件確認書(⑧)
- 全事業者に提出義務あり(提出書類⑧)
- 判定基準:2024年10月〜2025年9月の間、地域別最低賃金以上〜2025年度改定後の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上あること
- 記入対象:全従業員
事業場内最低賃金引き上げに係る要件確認書(⑬)
- 加点を取得する場合のみ提出(任意)
- 判定基準:2025年7月と申請直近月を比較して、事業場内最低賃金が63円以上引き上がっていること
- 記入対象:補助事業の実施場所(事業場)に勤務する従業員のみ
対処法
2つの書類はファイル名・シート構成・記入対象がすべて異なります。準備する際は必ずファイル名を確認し、記入内容が正しい書類に対応しているかをダブルチェックしてください。
弊所では2つの書類を混同しないよう、提出書類一覧で番号(⑧と⑬)を明示したうえで管理しています。
まとめ:書類準備・PDF化で気をつける3点
| ポイント | 対処法 |
|---|---|
| ExcelのPDF化後は必ず目視確認 | 印刷プレビュー確認 → PDF化 → 開いて確認の3ステップ |
| 決算書に不要なページを混入させない | 株主資本等変動計算書・CF計算書は削除する |
| 名称が似た確認書類は混同しやすい | ファイル名と番号(⑧と⑬)で管理する |
書類の「中身が正しい」ことと「提出できる状態になっている」ことは別です。PDF化・ページ構成・書類の取り違えは、内容を丁寧に作っていても最後の段階で起きるミスです。
弊所では書類作成から提出直前の最終チェックまで一貫してサポートしています。省力化補助金の申請をご検討の方は、ご相談ください。
シリーズ一覧
- ①電子申請システム操作編(公開済み)
- ②書類作成・数値編(公開済み)
- ③書類準備・PDF編(本記事)
- ④加点項目編(近日公開)




