
新事業進出補助金の審査は書面審査と口頭審査の2段階です。書面審査で7つの項目が評価されます。この記事では、公式の審査項目と「評価が低くなる例」を整理した上で、製造業・建設業で落ちやすいパターンをお伝えします。
書面審査の7つの評価項目
中小企業基盤整備機構の公式審査概要ページによると、書面審査の評価項目は以下の7つです。
- 補助対象事業としての適格性
- 新規事業の新市場性・高付加価値性
- 新規事業の有望度
- 事業の実現可能性
- 公的補助の必要性
- 政策面
- 大規模な賃上げ計画の妥当性
出典:https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/entry_criteria
この中で最も重要なのは①と②です。①で「そもそも補助対象か」が判断され、②で「どれだけ革新的か・市場として新しいか」が評価されます。①を満たさない申請はその時点で審査対象外になります。
「①補助対象事業としての適格性」を満たすための3要件
中小企業庁が公表している新事業進出指針の手引き(令和7年11月版)によると、補助対象事業として認められるには以下の3要件をすべて満たす必要があります。
要件①:製品等の新規性 申請事業者にとって、過去に製造・提供したことがない製品またはサービスであること。「世界初・日本初」である必要はなく、「自社にとって初めて」であれば足ります。ただし、公募開始日時点で既に販売・宣伝を開始している場合は対象外になります。
要件②:市場の新規性 新たに製造・提供する製品・サービスの顧客層が、既存事業の顧客層と明確に異なること。「既存の取引先からの要請に応じて新製品を製造する」ケースは、顧客層が変わらないため市場の新規性を満たしません。
要件③:新事業売上高要件 事業計画期間の最終年度において、新事業による売上高が申請時の総売上高の10%以上になる見込みがあること。
出典:https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/docs/shinjigyou_shishin_tebiki.pdf
製造業・建設業で落ちやすいパターン
新事業進出指針の手引きには「評価が低くなる例」が明記されています。製造業に直接関係する例を引用します。
評価が低くなる例①:容易に製造が可能な新製品を製造する場合
「自動車部品を製造している事業者が、容易に製造が可能なロボット用部品を製造する場合」が明示されています。既存の設備・技術でほぼそのまま作れる製品への転換は、「革新性が低い」と評価されます。
評価が低くなる例②:既存の製品に容易な改変を加えた新製品を製造する場合
「自動車部品を製造している事業者が、既存の部品に単純な改変を加えてロボット用部品を製造する場合」が明示されています。形状・寸法の微調整だけでは「新規性がある」とは評価されません。
評価が低くなる例③:既存の製品を単に組み合わせた新製品を製造する場合
「自動車部品を製造している事業者が、既存製品である2つの部品を単に組み合わせたロボット用部品を製造する場合」が明示されています。
建設業で多いパターンとして、「既存の施工技術を使って既存顧客向けに新しいサービスを追加する」場合も市場の新規性を満たしません。新しい顧客層(宿泊施設の利用者・体験施設の来場者等)を対象にした事業でなければ要件を満たせません。
減点項目として明記されていること
公式審査概要ページには、減点項目の一つとして「新事業進出指針の手引きの『3.製品等の新規性要件』の『3-5.評価が低くなる例』に該当する場合」が明記されています。
つまり上記の「評価が低くなる例」は、要件を満たさない(不採択)だけでなく、審査上の減点対象にもなります。
加点を取る方法
審査概要ページには加点項目も明記されています。主なものを挙げます。
- パートナーシップ構築宣言への登録(https://www.biz-partnership.jp/)
- くるみん認定(子育てサポート企業認定)
- えるぼし認定(女性活躍推進法に基づく認定)
- 健康経営優良法人認定
申請前に取得・登録できるものは対応しておくことで加点が得られます。いずれも申請に必須ではなく任意です。
口頭審査について
書面審査で一定の基準を満たした事業者を対象に、必要に応じて口頭審査が実施されます。口頭審査はオンラインで行われ、申請者本人が事業計画の内容を説明します。
第4回公募要領(p.2)には「作成自体を申請者以外が行うことは認められず、発覚した場合は不採択・採択取消・交付決定取消となります」と明記されています。支援者が代わりに作成した計画書の内容を本人が説明できなければ、口頭審査で評価が崩れます。
行政書士阿部総合事務所では、事業計画書の作成支援において「申請者本人が内容を理解・説明できること」を前提にヒアリングと作成を進めます。
行政書士阿部総合事務所への相談について
「自社の事業計画が審査要件を満たしているか」「評価が低くなる例に該当しないか」という確認は、事業内容を詳しく聞かなければ判断できません。
行政書士阿部総合事務所では初回相談でこの判断を行います。認定経営革新等支援機関として、申請書類の作成から確認書の発行まで一括して対応します。
現在、第4回公募が進行中です。締切は2026年6月19日(金)18時です。
参考:審査概要(公式) https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/entry_criteria
参考:新事業進出指針の手引き(公式) https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/docs/shinjigyou_shishin_tebiki.pdf
参考:第4回公募要領 https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/docs/shinjigyou_koubo_4.pdf
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